多田宏師範 — 合気道・気・月窓寺の伝統
多田宏(1929年12月14日、東京生まれ)は合気会9段の合気道師範。対馬の旧武家出身で、父のもとで日置流竹林派番派弓術を修め、早稲田大学で空手部に所属。1950年3月、法学部在学中に合気会本部道場にて開祖植芝盛平(翁先生)のもとで合気道の稽古を開始。
同年、天風会に入会。中村天風先生が護国寺月光殿で開催する月例研修会に参加し、即座に入門。1964年ローマに派遣され、イタリア中央道場(1967年)とイタリア合気会(1970年)を設立。1971年帰国。1976年、武蔵野市の月窓寺住職村尾正顕師との出会いを機に、合気道月窓寺道場を創設。
著書に合気道に生きるがあり、イタリア語版Vivere nell’Aikidōはイタリア合気会より出版された。これはイタリア合気道界との深い絆の証である。
氣の練磨 — Kinorenma 夏期講習会、ラ・スペーツィア
氣の練磨(ki no renma)は、多田宏師範が開発した集中修練プログラムであり、中村天風の心身統一道における呼吸・集中の修法を合気道の技術的・エネルギー的な身体と統合したものである。単なる体力練成にとどまらず、気の身体を系統的に錬える営みである:呼吸の協調(呼吸)、姿勢の整え(姿勢)、統一された精神集中(無心)、そして動と静における気の体内循環の体験。
1970年代以降、多田師範はイタリア合気会主催のもと、イタリアで毎年氣の練磨夏期講習会を開催している。ラ・スペーツィア(リグーリア州)での夏の集いは、欧州合気道における最も重要な法脈継承の場のひとつである。イタリア国内外から稽古人が集い、多田師範または上席の内弟子のもとで数日間にわたる集中修練に臨む。リグーリアの海岸を選んだのは意図的である:光と潮風は、稽古そのものにおいて育まれるべき開かれた受容的な意識の質と響き合う。
氣の練磨のカリキュラムは通常、次の段階で進む:暗黒丹田呼吸法(暗黒の中での丹田呼吸)、天風のヨーガ統合から派生した立位・動作の気の練習、物理的な力ではなく気の育成を主軸とした合気道の組稽古、そして一日の修練を統合する瞑想の時間。稽古人はこの経験を変容的なものとして語る。




翁先生 植芝盛平 — 合気道開祖
植芝盛平(1883年12月14日 — 1969年4月26日)、和歌山県西ノ谷村(現・田辺市)生まれ。大東流合気柔術の武田惣角に師事し、1919年に綾部の大本教に入信、最初の道場を開設。1925年に万有一体の悟りを得、合気道の哲学的基盤を確立。1942年に「合気道」の名称を選定。1969年4月26日逝去。
中村天風 — 心身統一の道
中村天風(1876–1968)は心身統一道を創始。インドのラージャ・ヨーガ、日本武道、西洋医学、心理療法を統合した体系。インドの聖者カリアッパのもとネパールで結核を克服し、50年以上にわたり日本で指導。多田宏師範への影響は決定的であり、多田系統の気の錬磨は天風の心身統一道に直接由来する。
プラハの合気道 — 世界道場
Aikido Praha Sekai Dojoは2012年にプラハ6区に設立。チェコ合気道協会(ČAA)所属、合気会本部道場公認。指導者:Otakar Horejš。
